住まいから
発達障害のある人の
暮らしを考えます

ご挨拶

私は建築家ですが、長く発達障害のある方たちと関わってきました。住まいの新築やリフォームに携わったり、発達障害のある人を雇い入れ共に働いたり。その経験のなかで、発達障害について学べば学ぶほどに、建築技術だけでは足りないのだと思い知らされました。医療や福祉の専門的な知識や経験、技術があってこそ、ひとりひとりの特性や生活における困難感という潜在的なニーズを拾い上げることができます。そのニーズに、建築家として応えていけたらと考えています。

建築士 鬼頭ゆか

私たちにとって「家」は、毎日の生活をより豊かに、健康に過ごすための基盤となるものです。そこでリラックスをして過ごすことができるように、皆が自分なりのアレンジをすることが必要だと考えています。発達障害のある方の中には、人一倍繊細な感覚を持っている方がいらっしゃいます。一人一人の特性を理解した上での生活空間を作ることを一緒にやっていけたら嬉しいです。

臨床心理士/公認心理師 石川直子

発達障がいのある人々が家族と一緒に安寧な日常生活を送れることを支援したいと考えています。そのために家の中の動線や空間の作り方を工夫したり、苦手な感覚を回避しやすく、反対に感覚欲求は満たすことのできる住まいづくりを一緒に考えたいと思います。住まいは、発達障がいのあるご本人だけでなく、家族みんなにとって安らげる場所であってほしいと思います。唯一無二のその家族にとっての住まいのカタチを一緒に考えましょう。

作業療法士 伊藤玲子

私は、障害福祉の分野、特に知的障害や発達障害のある方たちと関わる仕事に携わってきました。ご本人たちへの働きかけはもちろんのこと、「環境」を整えるのはとても重要と考えて取り組んできました。多数派の人には気にならないような音や光などによって、体調を崩すことがあります。感覚刺激が調整された、ご本人にとって意味のある、わかりやすい「環境」(住まい)づくりのお手伝いができたらうれしいです。

名古屋市発達障害者支援センター 小川真紀

社会生活を営むにはコミュニケーション活動が必要です。コミュニケーション活動の最小単位は家庭生活にあると思われますが、家族間で安心してコミュニケーションを行う場合に、『家』の役割は大きいのではないでしょうか。発達障害を持つお子さんの特性に合わせた家に住むことで、安定したコミュニケーション活動が生まれ、将来の社会生活が豊かになることと考えます。

言語聴覚士 藤田容子

発達障害のある方や、そのご家族の悩みについて考えるなかで、住まいの環境をいかに工夫するかが大切であるかを実感します。しかし、あくまでも住まう空間であって、広大なスペースや莫大な費用を要する設備であってはなりません。ひとりひとりの特性に応じた、現実的なささやかな工夫の数々でないといけないと思います。多様な専門家が知恵を出しあい、学びあいながら、皆さんと一緒に考えていけることを目指しています。

医師 岡田俊

活動報告

  • ●愛知県自閉症協会・つぼみの会を訪問して学習会
  • ●愛知県内の児童相談所の皆さんとの意見交換会
  • ●児童精神科医 吉川徹先生を迎えて学習会
  • ●たくと大府 所長林さんを迎えて学習会
  • ●愛知県内障害児入所施設見学
  • ●国立重度知的障害者総合施設 のぞみの園 施設見学
  • ●第63回日本児童青年精神医学会総会に参加
     演題「発達障害のある成人に働きやすい職場づくりの試み」

設立趣旨

発達障害の当事者が安寧に生活を送り、その人らしい毎日を送るためには環境を調整し、整備することの大切さが知られています。しかし、支援に携わる医療、福祉などの専門家は住まいをどのように変えることができるのかという知識は持ちません。一方、実際に住まいを提供したり改修等をおこなう立場にある、設計士などの専門家の発達障害への理解は十分ではありません。
障害の有無にかかわらず誰もが安寧に暮らすことは当たり前に享受されるべき権利です。住まう主体である発達障害当事者と家族の安寧な生活を保障するためには、発達障害専門家と建築専門家がともに知恵を出し合い、当事者の困難や支援のニード、当事者や当事者家族の意向を十分に反映して相談を重ねながら住まいの提案を行い、最終的には当事者と家族の判断に委ねるということが大切であると思います。そのことが、発達障害当事者の抱える情緒面や行動面の不安定さを解消することにもつながると考えます。
そこで、私たちは、発達障害の当事者支援に関わる医療・福祉関係の専門家と、建築関係の専門家ら双方が連携して解決にあたる組織を作り、支援の実践、ならびに、調査・研究を行い、この研究成果を社会に広く啓発することによって、将来の技術を担う人材育成を担うなど当分野の指導的な役割を果たすことを目指していきたいと考えています。構成メンバーは、上記の目的に賛同する専門家集団ですが、現時点でそれぞれ別の組織に属しています。そのため、この活動を目的として新たに一つの組織を設立して集い、研究に従事する体制が必要です。社会的信用力のある特定非営利活動法人格を取得し、当事者、当事者家族、ならびにバリフリーな社会の実現を目的とした活動を展開します。

NPO法人設立に至るまでの活動

  • 2020年4月 発達障害と建築技術研究会を発足した
  • 2020年5月~2020年12月まで(計8回)

それぞれに別の組織に属する精神科医師、臨床心理士、作業療法士、言語聴覚士、建築士が発達障害者の生活における諸問題とその対処方法について、それぞれが実務の中で経験した事例を持ち寄り、月に一度の定例で研究会を行った。

入会のご案内

ご案内と入会申込書をお送りしますので、メールでお申し込み下さい。